※本記事にはPR(広告)を含みます。
副業を始めて数か月経つと、多くの人が「経費ってどこまで認められるんだろう」「帳簿って何をどう付ければいいんだろう」という疑問にぶつかります。副業の始め方や案件の選び方はわかっても、税金の実務は別の話です。
こちらの過去記事では、会社員が副業を選ぶときの判断軸や、AI副業・スキマ時間副業の具体例を紹介しました。
副業自体は始められたけれど、確定申告の実務がわからないまま年末を迎えそうという人に向けて、この記事では経費の線引きと帳簿の付け方を中心に整理します。
そもそも申告が必要かどうかは、こちらの記事で
「自分は確定申告が必要なのかどうか、そこからわからない」という人もいると思います。副業の所得が20万円を超えるかどうかの判断は、以下の過去記事にまとめました。
また、年末調整だけで済むケースと確定申告が必要なケースの違いについては、こちらの記事で解説しています。
この記事では「申告が必要」という前提のもと、経費と帳簿という実務の部分に絞って書いていきます。
【結論】副業の確定申告実務で押さえるべき3点
副業の確定申告実務で押さえるべきこと
- 経費にできるかどうかは「副業のために使った金額かどうか」で線引きし、生活費と混ざる部分は家事按分が必要になる
- 帳簿は白色申告なら簡易な記録で足りるケースが多く、いきなり複雑な複式簿記を覚える必要はない
- 記録の手段はExcelでも十分なケースが多いが、副業の種類・件数によっては会計ソフトへの移行を検討する価値がある
この3点を順番に見ていきます。
副業で経費にできるもの・できないもの
副業の経費とは、その副業の収入を得るために直接使った費用のことです。ここが一番わかりにくいところだと思うので、具体的に見ていきます。

家賃って、在宅で仕事してるんだから全部経費にできるんですか?

そこはよく誤解されるポイントです。自宅の家賃・光熱費・通信費は、プライベートと副業の両方で使っているはずなので、全額を経費にすることはできません。副業のために使った割合だけを算出して計上します。これを「家事按分」と呼びます。

割合って、どうやって決めればいいんですか?

よく使われるのは、作業スペースの床面積の割合や、実際に副業に使った時間の割合をもとに計算する方法です。たとえば自宅の一室を作業スペースにしていて、その面積が住居全体の2割程度なら、家賃・光熱費の2割を経費として計上する、といった形です。厳密な決まりがあるわけではないので、説明できる根拠を持っておくことが大切です。
通信費(自宅のネット回線・スマホ代)も同じ考え方です。副業でどの程度使っているかを見積もり、その割合分だけを経費にします。
PC・ソフトの購入費は、副業専用に近い使い方をしているなら経費にしやすい項目です。ただし金額が10万円以上になる場合は、一括で経費にできず「減価償却」という形で複数年に分けて計上するルールがあるため、高額な機材を購入する予定がある人は事前に調べておくと安心です。

副業の種類によって、経費にできるものって変わってきますよね?

その通りです。こちらの過去記事で紹介したAI副業(ChatGPTを使った文章作成やデータ整理等)は、ネット環境とPCさえあれば完結する分、経費として計上できる項目は通信費・ソフト利用料程度に限られる傾向があります。
一方、こちらの過去記事で紹介したスキマ時間副業の中には、フリマ転売のように仕入れ費用や梱包資材費が発生するもの、オンライン講師のように教材費が発生するものもあり、経費が発生しやすい副業と発生しにくい副業の違いが出てきます。
なお、副業の存在や経費計上自体が会社にバレるリスクと直接結びつくわけではありませんが、住民税の仕組みが原因で副業の存在が伝わるケースはあります。この点は以下の過去記事で整理しています。
帳簿の付け方(白色申告の場合)
副業の所得は、多くの場合「雑所得」または「事業所得」に区分されます。継続性や事業としての実態が乏しい副業は雑所得、独立した事業として継続的に行っているものは事業所得として扱われるのが基本的な考え方です。どちらに該当するか迷う場合は、税務署や税理士に確認するのが確実です。
白色申告の場合、帳簿は「簡易な帳簿」で足りるとされています。複式簿記のような専門的な記帳方法を覚える必要はなく、最低限以下の項目を月ごとに記録しておけば十分なケースが多いです。
- 日付
- 取引の内容(何の収入・何の支出か)
- 金額
- 相手先(取引先名や依頼元)
これを月ごとに集計しておくと、確定申告の時期になって慌てずに済みます。逆に、1年分をまとめて年明けに思い出しながら記録しようとすると、レシートの紛失や記憶違いが起こりやすくなります。
Excelで管理するか、会計ソフトに移行するか

帳簿って、専用のソフトを使わないといけないんですか?

そんなことはありません。収入・支出の項目がシンプルで、副業が1つだけなら、Excelのシートに日付・内容・金額を並べていくだけで十分に対応できます。実際、副業を始めたばかりの段階ではExcelで管理している人が多いと思います。

逆に、どうなったら会計ソフトを検討したほうがいいんでしょうか?

これは持論になりますが、副業の所得が増えてきた場合や、複数の副業を並行するようになった場合は、freeeや弥生といった会計ソフト(SaaS)への移行を検討する価値があると思っています。理由は主に2つです。
1つ目は、収入・支出の項目が増えるほど、Excelでの手作業による集計ミスが起こりやすくなるためです。2つ目は、会計ソフトの多くは確定申告書類の作成まで自動化してくれる機能を備えており、申告時期の作業時間を大きく減らせるためです。

最初から会計ソフトを使ったほうが安心な気もしますが。

それも一つの考え方です。ただ、副業の規模がまだ小さいうちは、月額利用料がかかる会計ソフトを導入するコストのほうが見合わないケースもあります。まずはExcelで数か月分の記録を付けてみて、項目が複雑になってきた、もしくは記録が面倒に感じ始めたタイミングで会計ソフトへの移行を検討する、という順番で問題ないと思います。特定のサービスの優劣を比較するというより、副業の規模に応じて手段を選ぶという考え方です。

実際に移行するとしたら、どんな会計ソフトがあるんですか?

副業の確定申告でよく名前が挙がるのが、freee会計とマネーフォワード クラウド確定申告です。どちらも経費入力や帳簿付けの手間を減らす方向性のソフトですが、強みが少し違うので、検討する場合の参考として紹介します。
簿記の知識に自信がない方へ

経費の勘定科目とか、正直まだよくわかっていません。簿記の知識がなくても大丈夫でしょうか?

freee会計は、簿記の知識がなくても、スマホひとつで経費の入力から確定申告書の作成まで進められる設計です。銀行口座やクレジットカードの明細、レシートの撮影データを自動で取り込めるので、手入力の手間も減らせます。
【freee会計の主な特徴】
- 簿記や会計の知識がなくても、仕訳〜確定申告書の作成までスマホで進められる
- 銀行口座・クレジットカードの明細やレシート撮影から、データを自動で取り込める
- 法律が変わっても、そのつど手動で設定し直す必要はなく、システム側で自動的に更新される(インボイス制度・電子帳簿保存法にも対応)

副業のちょっとした経費でも、それなら記録が続けやすそうです。

MM総研の調査(2024年3月末時点)によると、freee会計は個人事業主向けクラウド会計ソフトの利用率でシェア2位とされています。数字がすべてではありませんが、選択肢を絞る材料のひとつにはなると思います。
口座やカードとの連携で自動化したい方へ
freee会計のほかにも、口座連携を軸にした選択肢があります。

毎回レシートや明細を見ながら手入力するのが正直面倒です。もっと自動化できるソフトはありますか?

マネーフォワード クラウド確定申告は、銀行口座やクレジットカードとの連携を軸にしたタイプです。連携させておけば、副業用の経費や入金の明細データが自動で取り込まれるので、日々の入力の手間をかなり減らせます。
マネーフォワード クラウド確定申告は、電子申告(e-Tax)にも対応しているため、役所の窓口(税務署)に行かずに申告を終えることもできます。チェックリスト機能を使い、画面の案内(ステップ)に沿って入力を進められるため、迷わず申告を進めやすい点も特徴です。レシートを撮影するだけで金額や日付を読み取り、経費として登録する機能も備わっています。
【マネーフォワード クラウド確定申告の主な特徴】
- 銀行口座・クレジットカードとの連携により、明細データを自動で取り込める
- 電子申告(e-Tax)に対応しており、税務署に行かずに申告できる
- チェックリスト機能を使い、画面の案内に沿って入力を進められる
- レシートはスマホで撮影するだけで、金額や日付が自動で読み取られる

口座連携で自動化できるのは便利そうです。ただ、いきなり本格導入するのは少し不安もあります。

その場合は、登録後1か月は費用をかけずに試せる期間が用意されているので、まずは自分の口座と連携させて使用感を確かめてみるといいと思います。マネーフォワードによると、確定申告にかかる手間を約61%削減できるとされています(2022年11月実施、マネーフォワード クラウド確定申告のサービス利用者向けアンケート調べ)。
確定申告の流れ(概要)
実際の申告作業でつまずきやすいのが、書類の作成方法と提出方法です。会社員の副業であれば、以下のような流れが一般的です。
- 1年間(1月〜12月)の収入・経費を集計する
- 確定申告書を作成する(国税庁の確定申告書等作成コーナー、またはスマホ申告に対応したアプリを利用)
- e-Tax(電子申告)、もしくは印刷して役所の窓口(税務署)に提出する
- 期限内(原則2月16日〜3月15日)に提出する
近年は国税庁の確定申告書等作成コーナーがスマホでの入力に対応しており、マイナンバーカードがあればスマートフォンだけでe-Tax申告まで完結させることも可能です。会社員で副業所得だけを申告する場合は、比較的シンプルな入力で済むことが多く、初めてでも大きくつまずくことは少ないと思います。
【まとめ】
副業の確定申告実務で押さえておきたいのは、経費の線引き(家事按分の考え方)、帳簿は簡易な記録で足りるケースが多いこと、そして記録手段はExcelから始めて必要に応じて会計ソフトへ移行するという順番です。
いきなり完璧な帳簿を目指す必要はありません。まずは今月分の副業の収入と支出だけでも、Excelの1シートに書き出してみることから始めてみてください。数か月続けてみると、自分の副業にどんな経費が発生しやすいか、記録の手間がどの程度かかるかが見えてきます。

コメントを残す